「ここで会ったのも何かの縁!今日飯食いに行っていい?」
「は?やだし」
「んなこと言ってやるなよ~、さっき鈴川と会って夜飯食う約束したからさ、あいつも連れてくし!」
何、それはつまり、家をただ食いレストランにするわけ?まぁ大学に一番近い場所にマンションがあるわけだから、こういうことは日常茶飯事だったけど。
あたしは大きなため息をついて、「今夜は回鍋肉だからね」と吐き捨てる。あからさまに内田は嫌そうな顔をしたが、あたしは構わずに軽く手を振り歩き出した。
あたしと鈴川君は中華が大好きだけど、内田は辛いものとネギがこの上なく嫌いなのだ。
「和食希望!」という切実な願いを背に聞きながら、もちろん聞き入れるつもりもなく、今夜の回鍋肉に向けての食材を頭の中で並べていた。



