…梨華さんにあたし達の関係を指摘されてから、あたし達はもう今までと同じではいられなくなった。

顔を見たら、声を聞いたら、それだけで愛しさを抑えられなくなる。それをお互いわかってたから、極力顔を合わせなくなった。

冬が来て春を迎えてからは、お互い受験生になる。丁度よかった。梨華さん以外の人から不審がられることもなく、あたし達は自然と離れることに成功した。


同じ屋根の下にいながら、お互いの存在を痛い程感じながらの身を引き裂かれる様な生活。


勉強することで気を紛らわし、そんな日々を耐えてきた。

あたし達は磁石が反発するかの様に、見事に違う道を選んでいく。


やがてあたしは県外の大学に推薦で合格し、裕太は、全寮制の進学高に合格した。

合格祝いの時でさえ、お互い目を合わせることもなかった。