ホタル




……………

次の日、放課後メールで平岡君に呼び出された。拒否することなく誰もいない教室で待つ。

5時30分前。そういえば平岡君と初めて話したのも、これくらいの夕方だった。

窓の外に視線を移す。今日は休みなのか、野球部は練習していなかった。

「何見てるの?」

ドキッとして振り向く。入口には、平岡君がいた。相変わらず裕太とそっくりの声。そう思ってしまう自分を、心の中で罵った。

ただ真っ直ぐ平岡君を見るあたしに向かって、彼はゆっくりと歩いてきた。