哀しい色だった裕太の瞳が、不意に固まった。
あたしがそれに気付かないわけがない。
裕太の視線の先を辿る途中で、あたしの顔からも色が失われた。
裕太の視線の先。
あたしの、首筋。
目を見開いたあたしは、思い切り空いている方の手で首筋を覆った。
その行動が、裕太の脳裏によぎったものを裏付ける。
「…なに?それ」
静かな裕太の声。あたしは思わず視線を泳がす。
瞬間、手首にぐっとした痛みが走った。
そのまま廊下の方に体を引っ張られる。
「裕…っ」
無言のまま、裕太はあたしの手を引き階段を駆け上がった。
転びそうになる。でも裕太は気にする訳でもなく、そのままあたしを自分の部屋に引き入れた。



