ホタル




……………

結局まさみさんには、マフラーとエプロンを選んだ。

家に帰って渡すと、思った以上にまさみさんは喜んでくれて、なんだか少しこそばゆい気分になった。

梨華さんが用意していてくれたケーキと一緒に、ささやかなお祝いをする。

大切な人と大切な時間を共有できる。
あの日あたしは確かに、とても幸せだった。





…夜になり窓を閉めようとしたら、窓枠に小さな虫が死んでいた。
よく見るとそれは季節外れのホタルで。あたしは少し驚いた。

なんだか切なくて、少しだけ哀しくて、あたしはホタルをハンカチで包み、そっと庭に戻してやる。



永遠なんてないんだ。


それはあまりにも簡単に、あたしの心に染み渡っていった。










幸せは、一瞬で溶けていく。


その後に残るものは、何だろう。