ホタル




……………

夏が去り、今は新緑が色とりどりの姿に衣替えする季節だ。いつもと変わらない生活を続けながら、少しずつ歯車は回り続ける。

その日は、急に寒さが増した風の強い日だった。



「…裕太?」

学校が終わり校門の前まで行くと、そこには裕太がいた。
中学の制服で門にもたれかかって立っている裕太は、見慣れなさとそのルックスからかなり目立っている。

あたしは驚いて駆け寄った。

「どうしたの?学校まで来るなんて…」
「ん?一緒に買い物行こうと思って」

あまりにも普通に裕太がそう言うから、あたしは言葉を失う。だって、こんな目立つ場所で、こんな堂々と。あたし達の関係を考えたら、そんなこと言っていいはずないのに。

「ちょ、裕…」
「もしかして、今日何の日だか忘れてる?」
「え?」

焦ってるあたしとは正反対の裕太。あたしは一瞬呆気にとられる。

「今日、まさみさんが家に来た日でしょ。ちょうど20周年。いつもお世話になってるし、何かお祝い買って帰ろうよ」