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目が覚めると、隣に裕太はいなかった。昨日の豪雨が嘘のような晴れやかな空。カーテンの隙間から入り込んだ朝日が部屋を横切っている。
ぼんやりした頭のまま、あたしはキッチンへと向かった。
「お嬢様。お早うございます」
キッチンには裕太と梨華さんがいた。少し驚いて目を丸くする。
「梨華さん。来てたの?」
「はい。昨日の台風でまさみさんが来れなくなった事を聞いて。私は家が近いので…」
「そっか…わざわざありがとね」
「いえ」
コーヒー淹れますね、と、満面の笑みでキッチンへ向かう梨華さん。
その笑顔に少し、罪悪感を覚えた。
「じゃあ俺出るね」
カタンと裕太が立ち上がる。よく見ると裕太は制服だった。
「裕太、今日学校?」
「うん、中川の付き添いで補習」
肩にカバンをかけながらそう言う裕太。いつもの裕太と何ら変わりはなくて。
「じゃあね」
軽くあたしの頭に手を乗せて、玄関へ向かう。昨日の裕太の手が、脳裏に鮮明に浮かんだ。
鮮明に浮かんで、胸が締め付けられる。



