……………
うっすらと瞼を開けると、視覚よりも先に聴覚が動いた。さっきよりは少しだけ落ち着いた豪雨が、それでもやっぱりうねりを上げて夜をもて遊んでいる。
二、三度瞬きをすると、目の前に裕太がいることがわかった。細くしなやかな腕が、あたしの頭の下にある。
しばらく彼を見つめていると、ぼんやりと天井を向いていた視線があたしを捉えた。随分前から起きていたのか、裕太の目は闇に慣れている様だった。
「起きた?」
「うん。…あたし、寝ちゃってたんだね」
「ほんの一時間くらいだよ」、裕太は言って、空いている方の手であたしを撫でた。
優しく、掬う様にあたしの髪の毛を撫でる。
それは昔、あたしが裕太にしていたものだった。
「…今」
「ん?」
「夢、見てた」
「どんな?」
「…昔の夢」
あたしと裕太の間の『昔』は、共通するものだった。どんな夢かわかったのか、裕太は静かに黙る。
「…あたし、裕太と姉弟に生まれてよかった」
そっと裕太の肩に触れる。
「同じ痛みを…共有できてる。あの頃の裕太を守れたのは…この世でただ1人、あたししかいなかったはずだから。裕太の側にいれて…よかった」



