ホタル





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『朱音ちゃん。ぼく、いらないこどもだったの?』

小さい頃、裕太はよくこう聞いた。
決まって二人、家を抜け出して公園にいる時に。

そんな時あたしは必ず裕太の頭を撫でて、『そんなこと絶対ない』と言った。それは、あたしの本心で。


…お母さんが何故裕太に冷たく当たるのか、あの頃のあたしにはわからなかった。
あの頃のお母さんは、確実に裕太に冷たくて、その度に裕太は傷ついた。

後から知った。お母さんが裕太を妊娠している時に、お父さんが浮気をしていたのだ。
『この子さえいなければ、あの人の心が離れることはなかったのに』。
これは、あの頃のお母さんの口癖。
子どもには、何を言ってもわからないと思っていたのかもしれない。でもそんなの思い違いだ。あたしも裕太も、ちゃんとわかってた。

ちゃんと、傷ついてた。