ホタル



…ふいに裕太の横顔が光ったかと思うと、同時に大きな雷鳴が夜の闇に響き渡った。

「きゃっ!」

あたしは思わず叫び、裕太にしがみつく。

裕太の体温が、直にあたしに触れた。


雷鳴は一回だった。後はただ、豪雨と暴風が繰り返されるだけ。
その中であたしは、裕太の側を動けなかった。

体が固まる。

肩が震える。

「…朱音」

裕太の声が耳許で響いた。あたしは思わず、体を震わせた。

「…好きだ」