「え…まさみさんも?」
「俺が帰ってすぐに電話あってさ。家が雨漏りしてて大変な事になってるから、家に来るの遅れるって。でも雨強くなる一方だし、無理して来なくていいって言ったんだ」
スリッパの音をたてながらキッチンの窓に向かう裕太。
そっとカーテンを開けると、ゴウゴウと音をたてて風と雨が夜の闇を支配していた。
「電車も止まってるんじゃない?ギリギリまで走るのかな」
まさみさんはいつも電車で家に来る。でも裕太の言う通り、この暴雨の中来てもらうのも申し訳ない。どうせあたしと裕太しかいないんだし。
そう、あたしと裕太しか。



