夜の予定、空いちゃったな。まぁ雨の中外に出るのも嫌いだし。
ぼんやりそんな事を考えながら、部屋を出た。うっすらと寝汗をかいてることに気付く。
夏休みも半ば。この中途半端な時期、夏休みの中弛みというのだろうか、あたしはよく昼寝をして時間を潰していた。
しかも最近雨が多い。湿気と蒸し暑さが、益々あたしのやる気と体力を奪っていった。
…「あらお嬢様、お目覚めですか」
リビングに入ると、佐知子さんがキッチンから声をかけてきた。
何かの汁の香りがふわりと漂う。
「あれ…今日、佐知子さんだっけ?」
「私は5時あがりです。5時からはまさみさんが」
てきぱきと夕食の支度をしながら彼女は言った。今日は冷やし中華らしい。あたしの好物でもあるから、英里と食べに行かなくてよかったと少し思った。



