やがて唇を離して、いつもの余裕で呟いた。
「…浴衣、綺麗だね」
「…ほんと?」
「赤、似合う。…俺だけのものにしたくなる」
不意に裕太の唇が耳につく。一瞬、体を強ばらせる。
「誰にも見せたくない。こんな綺麗な朱音。…俺だけが、触れてたい」
そっと唇をずらす。頬を伝い、首筋に。思わず目を閉じた。
裕太の唇はうなじにいき、そこに小さな痕をつける。
体が、震えた。
やがて裕太は唇を離し、頬を染めたあたしを見下ろす。思考が回らないあたしとは正反対の、落ち着いた笑顔。
そこに最後の花火が上がった。
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