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「お嬢様は肌がお白いですから、淡いお色の方が似合われると思うんですけどねぇ」

深紅の浴衣をあたしに着せながら、まさみさんが呟いた。

「いいのっ。どうしても赤い色がよかったんだから」
「でも十分お似合いですよ。とっても綺麗です」

浴衣の裾を整えながら、梨華さんが笑顔であたしを見上げた。
そんな梨華さんに「ありがと」とはにかみながら呟く。

外は蒸し返る様な暑さだったが、部屋には冷房が効いていたのでそこまで暑くはなかった。
両手を広げて帯を巻かれながら、窓の外を見る。

うっすらと赤みがかった空。蝉の声が窓越しに響く。

「今日は天気もいいですから、花火も綺麗でしょうね」

そんなあたしに気付いたのか、梨華さんが声をかけた。

「うん。そうだといいな」
「花火なんかよりよっぽどお嬢様の方が綺麗ですよ。平岡さんもきっと惚れ直します」

さっきまでは淡い色の方がいいと言っていたまさみさんだが、帯をぐっと絞めながらそう笑顔で言った。そんな二人に、あたしは曖昧な笑みを返すしかない。