……………
…寒い。
当たり前だ。もう何時間雨に当たっているかわからない。
足で地面を蹴り、ゆらゆらと中途半端な空間を揺れる。キィッ、キィッ。その度に錆びた鉄の音が闇をさ迷う。
小さな頃よく裕太を連れて来た。お父さんが帰って来た日は必ず。家にいたくなかった。裕太を泣かせたくなかった。
キィッ、キィッ。足元を見つめたままブランコを揺らす。
髪の毛から滴り落ちる雨の雫が降り注ぐ雨と同化していく。
…あの頃はよかった。
世界にはあたしと裕太しかいなかった。
裕太にはあたし、あたしには裕太が全てだった。
そう言っても赦されてた。
あの頃は。



