「あたしだって好きでふらふらしてるわけじゃない。どうしようもないんだもん。あたしの中の1人はどうしようもないんだもんっ。…関係ないなら口出ししないでよ。あたしが彼氏といようが、合コン行こうが、ラブホ行こうが、裕太には関係ないんでしょ!?」
…広いリビングに、あたしの叫び声が響いた。空気を揺らす。パタッと屋根が鳴った気がした。
上がった息を整える。しんとしたリビングには、あたしの息遣いだけ。裕太の顔が見れない。
「…ごめん」
泣きそうだ。裕太が謝るだけで。
「関係ねぇよな、別に。弟に…そんなこと言われたくないよな。ただ…露骨に避けたりとかそういうことすると、まさみさん達も心配するし…だから…」
「…やめて」
もうだめだ。限界を越えた。支える理性がひとつもない。
「やめてよ…もう言わないでよ…。弟とか…そんなことあたしに言わないで」
「…朱音?」
「言わないで、わかってるから。わかってるからこれ以上言わないでっ。裕太の口から…裕太の口からは聞きたくない、聞きたくないのっ!」



