ホタル



「ごめん…ごめんなさ…、ごめんなさい…」

葉桜の下、あたしは馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返した。泣きながら、何度も何度も。謝れば謝る程、きっと平岡君を傷つけた。それでもあたしには、それしか言えなかった。

「ごめんなさい…」

彼は何も言わなかった。ただ立ち尽くしたままだった。あたしのこの一言を、どうとらえたのだろう。
何も言わない彼の気持ちを、あたしはわかってあげられなかった。そんな自分が情けなくて、また涙が溢れてくる。


風が冷たくなった。雨が降るかもしれない、と感じた。
降ればいいのに。そして全て洗い流してくれたらいいのに。


…強烈な酸性雨で、あたしの全てを溶かして欲しい。

消えてくれない、この想いと一緒に。














……………