ホタル



「…ヤバ、こんな緊張したの久しぶり」
「えぇ?なんで?」
「だって俺、生のお手伝いさんなんか初めて見たよ」
「お手伝いさんっていうか、まさみさんはもうあたし達の育ての親って感じかな。小さい頃はお母さんとまさみさん、どっちが本当のお母さんなのかわかんなかったもん」

ははっと笑いながらそんな他愛ない事を話し、紅茶とクッキーに手を延ばしていた。話題は今日のクラスマッチに移り、大介の悪口に移り、期末テストの予想に移り、やがて、途絶えた。

コチッコチッと時計の針の音だけが響く。

丁度紅茶もクッキー見計らったかの様にも無くなっていて、当然の様にあたしたちはキスを交わした。当たり前のように。もう、ぎこちなさは微塵もない。