「いえ。私も好きです」


こちらを見る彼女は。

秘書課の癖に、飾り気がない。

染めてない黒髪、ファンデーションと眉、あとマスカラくらいの化粧。

ネイルも磨いてあるだけ。
そう、最低限の大人の身嗜み。


素朴さが、中学生を思わせるんだ―――




驚いた。





ひょっとしたら遅い青春、も、

あるのかもしれない。


胸がときめくうちは青春時代だ、と言っていいよな?


君と過ごすなら年寄りになっても、

俺は“青春”を過ごすんだろう。




今日も俺は変わらずエリートサラリーマンの道を歩く。