こちらが付いていけないほどにコロコロ表情を変える相沢くん。
今はといえば、ニッコリと、だけど確実に悪意の混じっている笑みでこちらを見ていた。
「プリクラ、二人でとったら消してあげる。ついでに、茜と聖の分も」
「………」
うんと頷きかけて、考え直す。
つまりは写メを消す代わりにプリクラ撮れ。……ってことだよね?
と、思ったのだが私の心の天秤は、いとも簡単に傾いた。
正直、プリクラというものがどういうものなのかイマイチ理解していなかったというのもあるが。
「い、いいよ。
そのかわり、ちゃんと消してね?」
だれかに見せびらかせられるのは嫌だ。
「俺は蕾には嘘はつかないよ」
え、私以外には嘘つくの?
と、言おうとしたが、ポンポン、と頭をなでられて言葉が出てこない。
……なんか、こうしてもらうのって嬉しい。
頭をなでてもらって思った以上に心安らかになる自分に、子供だなと心の中で苦笑いを漏らす。
けど。
「よっしゃ。んじゃ、あいつらが帰ってこないうちに行こ」
当然のごとく差し出された手を握り返すと、相沢くんの緩んでいる顔がさらにとろけそうになっているのをみて、またほんわか心が暖かくなるのは心地いいと思った。

