…………なのに。
「あ、そういえばまだ券残ってるしプリクラとろうよー。」
「賛成賛成!」
「じゃあ俺これ預けてくる。」
見事に話を変えた茜ちゃんに思いのほか開き直ってさらに必要以上に食いつく相沢くん。
しかも、私の腕から金のクマをひょいと持ち上げてカウンターに向かう如月くんに私はこれ以上話をつづけるわけにもいかなくて、ため息をついた。
「あ、まって聖。私もお金両替しに一緒に行くから。
太陽、あんた蕾が可愛いからって襲ったらどうなるか、わかってるよね?」
と、すごい人相で相沢君をにらみつけたあかねちゃんは、如月君とカウンターへむかっていく。
……本当に、嫌なんだけどなぁ。
沈んだ気持ちのまま、二人の背中を視線で追っていると。
「……蕾、」
「え?」
「ごめん、やっぱり消そうか?」
「……えっ?」
びっくりして、慌てて振り向くと心配そうにこちらを見下ろしていた。
先ほどとまったく違う相沢くんにいまいち読み込めずに黙りこむ私に、相沢くんはクルッと表情を変えて。
「ただし、条件あるんだけど。」
「へ?」

