「あれ、蕾どうしたの?」
「え?あ、えと……ちょっと気になって……」
少しはなれたところの自販機の前でうーんとうなっていた太陽くんに近づくと、パァっと表情を輝かせるものだから、返答に困ってしまう。
……本当は、茜ちゃんと如月君には帰りが…なんて言っていたけど、なんでもいいっていったからおしることか日本茶とか選ばれたらどうしようと心配してきたということは隠しておく。
「よかったー。
今蕾のやつ選んでたんだけどさー」
ミックスオレでしょー日本茶でしょーおしるこでしょー
と言っていく飲み物はやっぱりというか、予想どうりで。
「わ、私……「はい。」
水でいいよ、と言おうとしたら、急に目の前の差し出される。
トギマギしながらソレを受け取って改めてみてみると、"100%オレンジジュース"とプリントされた紙パック。
目をぱちくりさせると
「俺とおそろい」
といって、太陽くんも同じ紙パックを掲げてみせる。
「あ………ありがとう……」
私の小さな声が、目の前の人を太陽のような笑顔にさせたことが、なぜかとても不思議に思った。

