しみじみとそう思っていると、横から話しかけられ、慌てて視線を向ける。

「それちょーだい、」


「あっ…ど、どうぞ…!」



如月君の指差す卵焼きをどうやって渡そうかと思っていると、私がお箸でつかんだまま、パクリと口にくわえる。


「…………」


キョトンとしている私に、如月君は「あ、ウマい」と呟き平然と食べている。


こ、こうゆうのってみんな普通にするのかな……?



「そ、そぉだけど……
つか、俺がどんな思いで蕾誘ったのか……!」


相沢くんの意味深な言葉に私の体は思わず硬直する。


…………え?


「……え、なにそれ。それってもしかして………」


「第一、女子でそんなこと頼めるのなんて茜と蕾くらいだし、他の女子には誘いにくいし、それに………」


「それに?」

不自然に言葉をやめたと思うと、ボッといきなり相沢くんの顔が赤くなる。


「それに、なぁーにぃ?」

そんな相沢君に、茜ちゃんは意地悪い笑みを浮かべて先を促す。


「………茜、お前………!」


わぁわぁと騒がしい茜ちゃんと相沢くん、モグモグと静かに頬張る如月くんに囲まれ私は一つの卵焼きを口に入れた。