………そんななか、私は前の学校での事を自然と思いだしていた。
『蕾ってさぁーああ見えて、男たぶらかしてんだよ?知ってた?』
『しかも、ヤったらすぐポイだし』
『ほんと、最低ー。』
………それは、あなたたちのほうだって、言えたらどんなに楽だっただろうか。
最低最低と言いながら、自分達がやっている事の方がどれだけ最低なのかと言えたら、どれだけ苦しまずに入れただろうか。
「……み、蕾?」
「ッ、」
顔を上げ、右に視線を向ければ、心配そうにこちらを見ていた相沢君と目が会う。
「どした?気分悪い?」
「だ、大丈夫…だから……。」
ぎこちない笑みを浮かべて、受け流す。
教室が笑い声に包まれている中、窓側一番後ろの生徒だけは、真っ青な顔を窓に向けていた。

