「あ、相沢君………!」


「んー?」


「よ、よかったの………?」


「なーにがー?」



いつの間にか腕でなく手を握られていることに気付かないほど慌てつつも、一歩前を歩く相沢君に問いかけた。

最後に見た茜ちゃんの顔とポカンとする教室のみんなの顔が脳裏に浮かぶ。



「だ、だってみんなが………」


「あぁ、いいの。
俺が蕾と行きたかったんだから。」



「…………!」


これまで言われたことのない言葉に何も言えなくなってしまう。

でも。


「…………」


「…………」



なんでか、この沈黙が心地よく感じてしまう。
だけど、そんな雰囲気が長く続くはずもなく。



「太陽ーーーー!!」


「………ん?」



前からタタタッ…と走ってきたのは3人の女の子。
その一番前に立つ子は大声で相沢君の名前を呼んで手を振っている。