「もう治った?ほんとに平気?」
「うん、もう大丈夫。ありがとう。」
「いいよいいよ。
今度もし蕾が倒れちゃったら俺が人工呼吸するから安心して、」
「!!
い、いいいいらないっ!!」
あはは、と慌てふためく私を見て笑う太陽くん。
……完全にからかわれちゃってる。
「………」
でも。
故意なのかはわからないけど、さっきのことを聞かずにおいてくれるのに内心ほっとした。
"優等生"
その言葉自体悪口でもなんでもないし、太陽くんだって悪い意味で使ったわけじゃない。
それでも、その言葉を聞くと心の奥底にしまっている"あの感情"に飲まれそうになる。
私はいつだって、あの時のことが怖くて怖くて、仕方ない。
「つーぼみ!
まだ家までちょっとかかりそうだったらコンビニよってなんか買わない?
俺腹減っちゃって……」
「あ、うん!!」
でも、そんな臆病な自分もキラキラ輝く太陽のようなあなたの笑顔を見ると私も自然と顔がほころぶ。
それがなぜか、なんてこのころの私はまだ思いつかなかった。

