「ごめん…教えてもらうばっかりになっちゃって…。
蕾、全然勉強してないよね?」


「だ。大丈夫だよ、まだ二週間前だし私も授業中覚えたりしてるし…」


「さすが、優等生は違うなぁー」


「………、」


"優等生"


その言葉を聞いた途端に、突然喉の奥がつまった。



「俺も見習わないと………蕾?」


「……っ、っはぁ、はぁ…」


「ちょ、蕾、どうした!?」


「っ、だいじょ…ちょ…っと…」


「大丈夫じゃないだろ!
どこか…近くに病院……」


きょろきょろと見回す太陽くんの袖を思わずつかみ、息苦しい中で私は必死に言葉をつないだ。


「たまに…なるの、すぐおさま…っるから、へいき……」



「…………」



「…っ!」



とん、とん、



地面でしゃがみこんでいた私に合わせて体を落とした太陽くんはそのまま、私の背中に両手を回してリズムを刻む。
顔がすぐ太陽くんの首筋にあたってとぎまぎして。



それでも、この暖かさから逃げたいとは思わなかった。