「えっと、ここは………」



それと緊張してしまうのにはもう一つ、理由が。


「………」


("あのとき"、本当は口の横にキスをする予定だったのにどうしておでこにしたんですか?…なんて、どうやって聞けばいいんだろう…)


文化祭が終わったのは一週間前。
今じゃすっかり二週間後に控えたテスト一色となり、だれも…太陽くんですら気にしていない様子だが私はいまだそのことを疑問に思っていた。


(やっぱり、忘れた方がいいことなのかな……)


「あぁ、なるほど!
さんきゅー」


にこ、と下から覗き込むように微笑まれて。



「あ、うう、うん、」


(ろくに返事もできない私がおかしいんだろうか。)















「蕾ー、ここはどうすればいいんだっけ…」


「えっと、そこは……」





「先生…ここは…」


「そこはさっき言った通り…」




「蕾先生ぇ……」


「…………」



(……だめだ、早くもこの勝負負ける気しかしない……!)