「まぁ、もしかしてあなたは東の国の王子様?
どうしてこんなところにいるのですか?」
『婚約者である二人が最後に出会ったのは4年前の12歳の時。
白雪姫の本当の母が亡くなったお葬式以来です。
白雪姫は久しぶりの再会にとても嬉しくなりました。』
「実は、私はあるものに命を狙われているんだ。
そして、この家で身をひそめていた。
白雪姫も、七人の小人とは面識があるのか?」
「七人の小人?」
「七人の小人とは、この家の……」
バタン、
ドアの開く効果音が流れる。
と、同時にハイホーの曲が流れてきて、意気揚々に"小人"が出てくる。
その体の大きさと、何とも可愛らしい小人の衣装のギャップからか、登場した途端会場からドッと笑い声が湧く。
「はぁ、今日もたくさん掘ったなぁ。
あ、王子起きてたのか。」
『仕事から帰ってきた小人たちは、王子の姿を見た後、その後ろにいた白雪姫を見て目を丸くしました。』
「な、なんだこのベッピンさんは?
王子のコレか?」
芹沢くんが小指を立てて如月君をつんつんと肘でつつく。
そして残りの六人の小人役の人たちがヒューヒューとあおる。
え、そんなセリフ台本になかったよね!?
も、もしかしてアドリブ!?
「あぁ、俺の婚約者だ。」
「っ、!?」
そのセリフとともに、肩を抱き寄せられる。
キャァァァ、と悲鳴が耳を通るがそれよりも。
舞台裏で、驚いて目を丸くする太陽くんが視界の端から見えて、私はなぜかそちらに意識が向いてしまった。

