まいひーろー



シーンが変わって、次は私のシーンだ。
心臓が飛び出しそうになる。
もともと、人の前に立つのがすごく苦手な私が、劇の主役だなんて。

ぎゅ、っと両手を胸の前で握りしめる。


すると舞台そでにきた茜ちゃんがこちらに向かってきて。


「次、!白雪だよ!
頑張って!!」


「う、うん……」


バッと照明が消えて、次々と大道具がセットを変えていく。


その間も、深呼吸をしてみても心臓が静かになることはなく。


「…………」


ど、どうしよう。


始めのセリフ、なんだっけ?


緊張しすぎて口の中がカラカラになっていく。



「ゆっくり、深呼吸してみて」


「っ、」


すぐそばで声をかけられて驚きにビクリと体が揺れる。