「この音………」
おぼろげながらに、聞き覚えのあるメロディだ。
どこで聞いたんだろうと考えてると………
「太陽くん?」
たしか、太陽くんの着信音がこの音だった気がする。
っていうことは、屋上の中にいるというわけで……。
だけど、見回してみてもそれらしき人影はいない。
どこだろう……と考えてふと、ドアの隣に設置されている梯子に目が留まる。
もしかして。
トン、トン、トンと音が鳴り、ドアの上に上った先には。
「いた………」
サワサワと、風に揺れて金髪が光る。
ゆっくりと近づくと、瞼は閉じられていた。
いつも笑みを浮かべているはずのその顔が、無表情なだけでやけに新鮮に見えて。
「………」
そのせいなのか。
本当は起こしてすぐに茜ちゃんのところに連れて行かなければならないのに、なぜか座ってしまう私。
「ん………」
「た、太陽くん?」
唸り声をあげて、眉根をよせる太陽くんにドキっとしながらそっと呼びかける。
…………けれど。
「ひゃっ!?た、太陽くんっ!??」
「んー……」
た、太陽くんの頭が私の膝に………!

