まいひーろー



「そりゃあ、太陽が香奈にいったんじゃない?
白雪の出番増やして―って。」

「…………」

若干の非難を込めて太陽くんを見る。
するとこちらからみてもわかるくらいうろたえ、そしてあきらめたようにため息をつく。


「そりゃあ、だってみたいじゃん。
蕾の白雪姫!!」


「逆切れすんな。」


パコッと台本で太陽くんの頭をたたく茜ちゃん。
一方で、太陽くんの思わぬ言葉にかぁっと顔が熱くなる私。


………ずるい。



そんなこと言われたら、表だって反論できない。
ただでさえ、茜ちゃんのように気の強くない私なのに。


「………ごめん、蕾。
怒ってる?」



「……ううん、」

結局、私は太陽くんに文句なんかいえるはずないんだ。
赤い顔を隠すように俯く私は、それが気が強い弱いに関係がないことに気がつかず、ポツリとそう呟いた。