「お優しいお嬢さん、林檎は一ついらんかね?」
「ぶはっ、ちょ、茜………!」
「ふっ………!」
茜ちゃんのどうやって出したのかといたいぐらい、絶妙なしゃがれた声でセリフを聞いて太陽くんと私は思わず噴き出す。
本当に、どうやったらそんな声が出るんだろう。
「どう?結構うまいでしょ。」
ケタケタと笑う太陽くんと、肩を震わせる私を見て満足げにいう茜ちゃん。
うまいっていうレベルじゃない。
とにかく、台本はここで止まっていた。
後は、江川さんの台本が書き終わるのを待つばかりだ。
…けれど、一つ気になることが。
「あの、白雪姫のセリフが多い気が……」
役が決まった当初は、白雪はセリフが少ない、って言っていたのに。
「あー……なんでだろうね。」
目を泳がせる太陽くん。
……えっと、とっても怪しいです。

