まいひーろー


「あー………?」


とろんとした目はぼーっとしていて、まだ意識がはっきりしていないような如月君。
…………可愛い。
って、男の人にこんな表現は失礼かな。
と考えをすぐさま訂正する。


「ほら、起きろー」


ぺしんと頭を軽くたたいた茜ちゃん。
たたかれた如月君はいまだぼーっとしている。
だ、大丈夫かな。


「まぁ、とりあえず聖はおいて。
台本確認しようよ。実はまだ私最後まで見てないんだよね。」

「俺もー…つか、最後まだできてないんだろ?
江川がなんか最後はとびっきりにおもしろくする!って意気込んでたし。」

「え?そうなの?」

茜ちゃんの驚きの声に、私も心の中で同じことを言った。
一通り読んだはずが、最後の方はちゃんと読めていなかったらしい。
鞄から取り出した台本をぱらぱらめくってみると、太陽くんの言うとおり

『続きは後日別で配布します』

最後の方にそう書いてあった。



………なんだか、嫌な予感しかしない。