「じゃあ、今の時間では白雪姫の役を決めるんだけど…。
その前にちょっと、教室の出し物の提案があるんだ。」
6時間目のHRで、あい…太陽くんはまた教卓の前に立って後ろの私でも聞こえるくらいの声量でみんなを注目させる。
「さっきこのことを話してて、お化け屋敷が良いんじゃないかって言ってたんだけど、茜が迷路屋敷にしたら、その分人材も少なくていいし、費用もそんなにかからないんじゃないかって言ってて」
みんなが、太陽くんの話に真剣に耳を傾ける。
「俺もそれがいいと思うんだけど、なんかイマイチ迷路屋敷だけじゃもの足りねぇじゃん。」
との言葉に数名が肯定の声を上げる。
「それで、俺らのクラスは……」
と、急にチョークを取り出して荒っぽく黒板に文字を書いて行く。
「お化けin迷路屋敷☆にしたいと思うんだけどどう?」
へぇ、いいじゃん。
なに、その名前ー
面白そう!
クラスには、肯定的なのやら、名前に受けて笑い声が湧いたりと、和やかな雰囲気が流れ、太陽くんもほっとしている様子。
ちらりと茜ちゃんの方を見てみると、カチカチとケータイをいじっていて。
…それが妙に不機嫌に映る。
というか、私が相沢くんから太陽くんに呼び名が変わったと知った時の茜ちゃんの衝撃的な顔は1時間たった今も鮮明に脳裏に思い浮かぶ。
……さすがに、怒鳴ったりとかはなかったけれど、太陽くんの爽快な笑みと対照的な茜ちゃんの場面はかなり緊迫していたように思える。

