………
リン「……俺、言おうかな」
ナカ「……はい」
中さんは微笑んでくれた
俺の決心を応援する様に
ナカ「独り占めできなくなるのは、少し残念なんですけどね」
廊下からは足音が聞こえてきた
近付いた登校ラッシュを示唆している
リン「俺は中さんの秘密を守りますね」
ナカ「当たり前ですよ」
中さんは最後にまた笑って席に着いた
その背中は温かで大きく見えた
俺からも微笑みがこぼれる
―――
―――
―――
教室の扉が開いた
「……麟太郎」
リン「おはよう、イチ」
教室に入って来たのはイチだった
イチは俺から目を反らし
そそくさと自分の席に着く
リン「……イチ」
イチの返事は返って来ない
リン「話があるんだけど」
探る様に言ってみる
イチ「……屋上に行こう」
イチは少し考える様にして
教室をあとにした