君に物語を聞かせよう。




ここに、サナギが一匹いる。


しかし、彼女に孵化する気はなく、その心はまるで呪いのように殻の中に縛られている。



羽ばたくはずだった空を拒み、取り巻く現実を諦め、ただ無為に世界を眺める。



そして、そんなサナギを羽ばたかせようと、薄汚れた都市の片隅で奮闘する仲間たち。



ねぇ、君。

これは、そんな日々の物語なんだ。


救いのない残酷な世界の中で、腐泥を啜ってもなお足掻く人間達の物語。



さぁ、物語を始めよう。

耳を澄まして、心を傾けてみてほしい。



君は一体、このお話のお終いに何を見るだろうか?