薄雲が棚引く夕方の秋空。 「涼しくなったね」 自転車の後ろで、颯太に身を預けながら言う。 「だな」 いつもと変わらない横顔、香り。 夏休みも明け、二学期が始まった。 今年の夏は、どきどきしてばっかりで、落ち着かない休暇だった。 ――そう、あたし、わかったの。 きっと、これが“恋”。 あたし、颯太が『好き』。