あたしはどうしようもできなかった。 颯太の香りが、あたたかさが、はっきり感じられる。 なぜか安心できて、すごく落ち着くの。 けど‥‥‥心臓だけが、やけにうるさい。 どれくらいこうしていたんだろう。 「ごめん」 そう言ってあたしを離した。 なんて言えばいいかわからなくて、黙り込んでしまう。 でも‥‥‥嫌じゃなかった。