「私さ、今恋人いるんだよね」

有名私立学園の豪華な学生寮の一室。私は大きなソファーに寝転びながら、何気ないふうを装って同居人の涼壱に話しかける。

「今日で5ヵ月なんだ」

「へえ」

「そんで、一緒に記念日とか祝うんだよね」

テーブルを挟んで反対側のソファーに寝転んだ涼壱に、遠まわしに言ってみたりする。

「あ…俺出掛けてくるわ」

「ごめんね…言いづらくてさ…」

「うん、遠まわし過ぎてわかんなかった」

「夜になる前には帰すから。ご飯は一緒に食べよ」

「おう、じゃあ俺夕飯の買い出しにでも行ってくるか」

私が涼壱と一緒にご飯を食べたい理由。それは、涼壱が料理が得意だからである。

私だって少しなら料理は出来る。キャベツの千切りなんてプロ並みだ。涼壱に「料理じゃないよな」と指摘されたけど。

「何か今日はパスタが食べたい気分」

「ん、了解」

涼壱を見送って、私はそわそわしながら恋人(女)のお出ましを待った。