認めないっ!!

「涼壱の話によると、こういう事だよね」



涼壱は幼い頃よくお祖父様の別荘に行っていたそうだ。

その別荘というのが山の中にあり、涼壱はバスで途中まで行き、そこから先は山中を歩いて行っていた。

幼くて記憶力の弱い涼壱は、何度も行っているにも関わらず、ある時山の中で迷子になった。

頭の弱い涼壱は、あちこち歩き回って、見た事もない場所に出た。



「うん、あのさぁ、ちょいちょい中傷するの止めてくんねーかな」

「ちょっと、茶々入れないでよ!!」



涼壱が辿り着いたのはライラックの木がたくさん植えてある、ライラックの森だった。

ライラックの木の下には、木に凭れ掛かって眠る同い年くらいの女の子がいた。

女の子は涼壱が近付くとぱちりと目を覚まし、色素の薄い茶色の瞳で涼壱を怪訝そうに見つめた。

『ここはどこなの?』

『ここは、ライラックの森。私のお庭なの』

『俺、道に迷っちゃったんだ、道案内してくれないかな』

『私、自分のお家から外はわからないの。パパなら知っているわ』

『そっかぁ』

『私のパパが帰って来るまで、一緒に待っていましょう』

そうして、涼壱はその女の子とライラックの森で夕方まで遊んだそうだ。