認めないっ!!

涼壱は話している間終始穏やかな顔だった。きっとこの恋はもう彼の中で終わったという証拠だろう。

それにしても、

なんて酷い男!!

涼壱という人がいるのに、隠れて他の女の子にデレデレ鼻の下なんか伸ばしちゃって!!

「涼壱、その男に勝ってよ」

「俺に出来るかな」

「大丈夫。涼壱ならそいつらに負けないくらい素敵な恋が出来るよ」

私は勝ち気に言い放った。涼壱は一瞬キョトンとして、それから目を丸くした。

「あぁ……勝つってそういう事か」

「…どういう事を想像してたの?」

「え、なんか、その女の子を巡った男と男の殴り合いみたいな?」

「何でそっちに思考がいくの。第一、涼壱は女の子に興味ないでしょう?」

「今はな。でも、小さい頃に1度だけ、女の子に恋をした事がある」

私はこの衝撃の告白に10秒はフリーズした。

そして、涼壱が若干引いているのもお構いなしに、涼壱の両手をがっしり掴んで身を乗り出した。

「えぇ!!私それ興味ある。聴かせてよ」

「んー、小さい頃だし、あんまり覚えてないよ?」

「いいじゃん、小さな恋のメロディーみたいで」

んじゃあ、と涼壱が珍しく照れた様子で話し出した。

私は涼壱の手を掴んだままである事も忘れ、彼の話に聴き入った。