認めないっ!!

私は、涼壱が戻って来た時、様子がおかしい事に気付いた。


「麻里亜、ただいま!!今日はカルボナーラ作るな!!あと、デザートも買って来たから!!」



…何と言うか、空元気。

涼壱は普段クールな感じで、こんな風に大きな声で話したりしない。

こりゃあ何かあったなと感づいたが、ここはあえて涼壱が話したくなるのを待つ事にした。


台所から、料理の忙しない音が聞こえてくる。

「涼壱、私手伝おうか」

「いいよいいよ。麻里亜は座ってろよ」

「う、うん」


気が、紛れるから、かな?

ああ、ダメだ。深読みしちゃうよ。気になるじゃんか、涼壱!!


「出来たよー」

「頂きまーす!!…………む…おいひー!!」

あ、ヤバいヤバい。疑問が頭からとんじゃう所だった。恐るべし料理の腕前。

「はは、やっぱり麻里亜の食いっぷり見るのは気持ちいいな」

「そう?」

「うん。……俺さ、ついさっき失恋したんだよね」

「…うん。話して、涼壱」


気分が軽くなるから。


言わなくても伝わったと思う。ふっと笑みを漏らすと、涼壱は静かに語り出した。