「秋山様との接点を作るために、作られたスタンプラリーだったのですわ。」
そ、それは…。
「この先は、言わなくても分かりますわよね?…お嬢様はきっと、屋上にいらっしゃいます。行ってさしあげてくださいまし。」
佐原さんはニコッと笑って、言った。
俺の足は、まっすぐ屋上へと向かっていた。
俺との、接点を持つために…?
なんで…って、理由はひとつしか無い、よな。
でも、それ以前に華乃様は、俺の事を知っていたんだろうか?
屋上のドアを開け、辺りを見わたす。
フェンスに掴まっている華乃様の姿があった。
俺は、静かに近付いた。
「アンタが、生徒会役員になって、地味に活動してたの、ずっと見てた。」
…地味にって。
「最初は、ただなんとなくだったけど。…見る度、今日も頑張ってるな、とか。今日はいないから休みなのかなとか…いつも考えてて。」
「…うん。」
「佐原に頼んで、接点作ってもらったの。」
華乃様はこちらを見ず、ただフェンス越しに、外を見ていた。
「あんな事しなくたって、普通に話しかけたら済む事じゃ…」
「…ヒクと思ったんだもん。私、こんな性格だし。始めは大人しくして、徐々にじわじわ出していくかと思ってたんだけど、無理だった。」
…そりゃ無理だろ。


