「いいなあ。私のお母様、お弁当なんて作ってくれた事なんてなかったから。」
ボソリと、華乃様が言った。
長いまつ毛が、瞳にかかっていた。
「ご馳走様!また明日も一緒に食べる事。分かった?」
…偉そう。
でも……
「また、卵焼き食べれるなら。」
「我侭なんだから。」
華乃様は、そう言って、笑った。
ガザツな印象だったけど、そうでもないのかも…。
俺は、そう思った。
「祥平!お茶!」
「はいはい。」
もう一週間、一緒にお昼を過ごしている。
恋人…といより、家来みたいな感じだろうか?
「はい、は一回!」
と言って、頬を叩かれた。
「いったー!」
「次は気をつけるように。」
そう言ってお茶をすする華乃様。
はじめは、綺麗で、可愛くて、タイプだって思った。
そして、ガザツなお嬢様だと思った。
今は…ご主人様、って感じ?


