オバケの駐在所

その場から立ち去り
気にとめない様にするのが
一番の手立てと思う。

要はシカトって事。

これからは
あんな者を相手しないで
新たな門出ってやつを
まかり通るのさ!
……そう、
青春を
おおいに満喫するんだ!

そうして私は
耳鼻科の扉を
勢いよく開けた。

毎年訪れる花粉には
幾たびと
再悩ませられてきたが
薬さえ飲めば
多少は楽になるらしい。

こうして1つひとつ
嫌な事を片付けていき
自分で考えて生きていけば
立派な大人に
なれるんだろうと
私は思う。

肩からかけたバッグに
処方してもらった
薬を入れると
中に畳んでしまわれている
薄地のマフラーに
目がいった。

両親から大切な愛娘へ
プレゼントされた
姉のピンクのマフラー。
タンスに大事に
しまわれていたのにも
かかわらず
所々ほつれているのを
見ると
かけがえのない物
だったんだろうと
推して知る。

……立派な大人か。