オバケの駐在所

「私の家そこだよ。
そこの白いアパート。
見えるでしょ?

この時期は
最高にいいね!
なんたって
桜が真ん前だもん。
うっとりしちゃうよね。」

手を木から外し
こすれた所を
さすりながら言う。

彼女は笑顔で
聞いていたが
その笑顔も
桜になんら劣らぬ
花も恥じらうほどだ。

「あなた名前は?
私は吉野って言うの。

あなたのも是非
教えてほしいな。」

「暁なつみです!
なんとかした暁には
…の、あかつき。」

私は彼女から
名前を聞かれた事が
嬉しくて
声を少しばかり
弾ませてしまった。

「明日もまた
ハジメさんの所に行くの。

あなたもおいで。
そのほうが楽しいわ。」