オバケの駐在所

「う〜、
夜はまだまだ寒いわね。
あなたのお家はどこ?
私はもう帰りたいわ。」

振り向くと
彼女は腕組みしながら
肩を少し上げていたが
服の上からでも
わかるほどの
華奢で長い腕が
絡まる様は
何かとても大人っぽく
格好よく見えた。

……ん?

そんな彼女のほうに
歩きだそうとすると
幹に触れていた左手に
挟まる圧迫感と
突っかかり
こすれた痛みを感じる。

見ると木の窪み部分に
丁度いい具合に
手が挟まっていた。

変だな。

無意識に突っ込んだかな?
狭い所好きだし……。