オバケの駐在所

「粗暴よね。
いくらなんでも
葉っぱをねぇ……。

ねえ、
さっきのはめてみてよ?
折角だし。
シルバーって魔除けにも
なるらしいわよ。
効果は期待
できないけど。」

指輪をする事に
あまり抵抗はないのだが
私のではないというのが
いささか複雑な所である。

そして指輪を眺めながら
左の薬指に通すと
見事に
ぴったりと収まった。

いや別に薬指でなくても
よかったか……。

「やーん、
似合う〜。」

おぼろげに浮かぶ
満月に
手を高くかざし、
思わず気持ちが
ノッてしまう。

よくわからんけど
借りちゃお。
ブランドだし。

何はともあれ
私が子供であるからかも
しれないが
あまり物事を深く考えず
ただただ
内心にやつきながら
春の生暖かい夜風が
吹く中、
おしゃべりしながら
帰路を行った。

そして先ほどの
桜の並木通りに入り、
私は一本の桜の木の前で
足を止める。

「……どーしたの?」