オバケの駐在所

「あ!
ちょっと待て!」

私がお気に入りのブーツに
足を一生懸命
押し入れている時に
後ろからおじさんが
呼び止める。

そして顔だけを
そちらに向けると
何やら桜餅の葉を
手に持って
隣でしゃがみ
私のカーディガンに
力を込めて
塩漬けの葉っぱを
擦り込んできた。

「ぅおいっ!」

思いっきり
もう片方のブーツを
振り回したら
気持ちいいくらいに
おじさんの横っ面の
真ん中に入り
私は少し
びっくりしてしまう。

「いったーい……!」

なんか本気で痛そうに
手で押さえていたが
私は折れずに
強めの口調で言う。

「あ、あんたが
変な事
してきたからでしょ!?」

「もーガサツだなぁ
お前……。」

隣で見ていた彼女は
優美に「あらあら。」
なんて笑っていた。